代理出産(代理母出産)の問題点、反対派の意見は?
大きな問題を内包する代理出産(代理母出産)
日本ではまだまだ浸透していない「代理出産(代理母出産) 」ですが、世界ではかなり認知されています。
特に欧米ではかなり浸透しており、実際に代理出産(代理母出産)を行うカップルも増加傾向にあります。
がしかし、この代理出産には多くの問題点と、反対派による批判が数多く寄せられているのです。
特に日本では反対派の意見が強く、日本産科婦人科学会が制度として認めていないのです。
今回はそんな代理出産(代理母出産)の問題点、反対派の意見についてまとめていこうと思います。
妊娠・出産は死が隣り合わせの危険のもの。それを代理してもらう倫理的反論
これがもっとも大きな問題かもしれません。
そもそも妊娠・出産というものは女性の生死を左右するかもしれない事なのです。
昨今の医療技術の進歩により、出産時の死亡事例はかなり減ってきましたがそれでも死を伴う場合もまだまだあるのです。
そのような「死ぬ危険性」のあることを、第三者に委託・代理してもらうのはどうなのか・・・という倫理的な問題です。
特に自分の身体に他人の卵子を入れて出産するので、一般的な出産よりも合併症の危険も上がります。
このようなリスクを他人に負わせるのは・・・という考えが非常に強くみられます。
胎児の引き渡し拒否
これは実際に起こったことですが、代理母が出産後に自分がお腹を痛めて産んだ子供を依頼者の夫婦に引き渡す事を拒否した事例があります。
あくまで代理母は絶対にそのような事をしない前提で契約しているにも関わらず、このような事になってしまうのです。
一番の被害者は生まれてきた子供でしょう。
貧富の差が生む、生殖ビジネスとしての倫理的問題点
昨今、代理母出産が盛んな地域はタイやインドなどが多くなってきています。
結論からいうと「貧困地域の女性が生活の為に代理母を引き受けて報酬を得ている」事が大きな問題と言えます。
これらの貧困地域の女性に代理母出産を依頼するのは日本をはじめ、欧米先進国の金銭に恵まれた裕福なカップルなのです。
まさに先進国が貧困国の命を搾取しているといって良いのかもしれません。
確かに代理母として出産した場合、貧困地域の女性の年収の何倍もの報酬を得る事が出来ます。
実際に子供に恵まれなかった欧米先進国のカップル達がタイやインドでの代理母出産にて子供を得るということもあるでしょう。
しかし、その裏には「死ぬ危険性」のある妊娠・出産を代理した結果、死に至った女性も数多くいるはずです。
まさに貧富の差が生む、生殖ビジネスがそこにはあるのです。
そういった情勢の中、2015年10月にインドが外国人向け代理出産を禁止しました。
インド政府は不妊治療を施す医院に対し、同国の女性を代理母とした代理出産を外国人に認めないよう指示したのです。
また、代理出産が成長市場になっているタイでは2015年度には金銭目的の代理出産を禁止する法律が可決されました。
その理由はまさに前述のとおりであり、貧富の差が生む生殖ビジネスの世界的な流れがわかりますね。
生まれてきた子供が先天的異常があった場合の引き取り拒否
これも実際に起こりました。
オーストラリアの夫婦が代理母出産を行った結果、双子を得ましたが、そのうちの一人に21トリソミ―(ダウン症児)が判明し、結果として先天的異常があった子の引き取りを拒否したのです。
このような事が許されるわけがありません。
しかし、このような事が度々発生しているのも事実なのです。
このように、非常にたくさんの問題点を孕んでいる代理出産(代理母出産)です。
もし、あなたが代理出産(代理母出産)を望んでいるのであれば、上記のような問題に対してしっかりと向き合って答えを出すべきです。
「死ぬ危険性」のある妊娠・出産を代理してもらうのですから、中途半端な考えで臨むことの無いようにしてください。